2007年06月09日

内部統制とは何か(2)

経済のニュースで「内部統制」が説明されるときに
「J−SOX」という言葉が出てくるのを目にした方も多いと思います。


そこで今回は「J−SOX」という言葉を説明しながら、
日本に内部統制監査が導入されることになった経緯をお話しします。


内部統制とは何か(2)

少し前の話になりますが、アメリカで粉飾決算の後に巨額な負債を抱えて破綻した
エンロン事件とワールドコム事件が起こりました。

そして、エンロンとワールドコムの監査を担当していた
アーサーアンダーセンは粉飾決算に加担したとして
市場から責任を追及され崩壊しました。

この2つの事件を契機にアメリカでは会計不信が起こり、
証券市場に対する信頼が揺るぐことになりました。


なお、不正会計に対する経営者の責任は日本よりも、
アメリカの方が格段に重くなっています。

ライブドア事件において堀江被告は、東京地裁より懲役2年6月
の実刑判決が言い渡されました。

これに対してワールドコムの経営者に対しては禁錮25年、
エンロンの経営者であるジェフリー・スキリング被告に対しては、
禁固24年4か月の実刑判決が言い渡されました。

(YOMIURI ONLINE参照)
http://job.yomiuri.co.jp/news/jo_ne_06102426.cfm


2つの事件により失われた証券市場の信頼を回復するために、
ブッシュ政権は2002年に日本では一般的に企業改革法と訳されている、
「上場企業会計改革及び投資家保護法」を制定しました。

ちなみに、「上場企業会計改革及び投資家保護法」は
ポール・サーベンス(Paul Sarbanes)上院議員と
マイケル・オクスリー(Michael Oxley)下院議員の名前にちなんで、
サーベンス・オクスリー法(Sarbanes-Oxley Act)と呼ばれるようになりました。

そして、サーベンス・オクスリー法(Sarbanes-Oxley Act)を短縮して
SOX法と呼ばれるようなりました。


SOX法は内部統制の構築とその監査だけではなく、
監査法人に対する監督の強化、内部告発者の保護、
経営者の不正行為に対する罰則強化、企業の監査委員会の役割強化など、
企業が正確な財務報告を行うために必要な多くの事項が制定されました。

そのなかでも404条において、
内部統制の構築とその監査について書かれています。

具体的には、経営者が財務報告を正しく行うための内部統制が
有効に機能していることを確認したことを決算書と同時に書面で提出します。
その後、監査人は内部統制の監査を行い、財務諸表監査と同様に
内部統制についても監査意見を述べることになっています。


日本においてもライブドア事件等の不正会計問題から証券市場の信頼を回復するため、
2006年6月に公布された「金融商品取引法」で米国のSOX法のように
「内部統制」の監査を義務づけることになりました。


そのため、日本では、「内部統制」の構築とその監査のことを
「J−SOX」という名称で呼ばれるようになりました。

前回と今回のメルマガで内部統制の概要を説明しました。
次回からは少しずつ具体的な内容をお話ししていこうと思います。
  

Posted by minoru2005 at 12:53Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

内部統制とは何か(1)

内部統制とは簡単に言えば、
ビジネスでお金を使うときになどに何重にもチェックして
間違いがないようにすることです。

例えばある会社に勤めるAさんが会社の備品として
ノートPCを10台購入するとします。

この場合は次のような手続(内部統制)が考えられます。

(1)ノートPCを購入するという稟議を上げる。

(2)稟議が通った後でノートPCを購入する。

(3)請求書と稟議のコピーを経理部に回す。同時に支払依頼書を資金部に回す。

(4)請求書と稟議書のコピーを経理担当者がチェックをする。

(5) (4)の書類を経理部長が再チェックをし、問題なければ資金部に回す。

(6)経理部でチェックが終わった書類を資金部のスタッフが受取り、
 支払依頼書とのチェックを行う。

(7) (1)〜(6)の手続が終了した後で、資金部長が支払承認を行い、
 ノートPCの代金を支払う。


仕事を行うときにはミスをしてはいけないので、
内部統制の手続は備品を買うときだけではなく、
売上を上げたり、仕入をしたりするときなど、
ほとんどすべての仕事のプロセスに必要となります。


とはいえこのような内部統制のプロセスは、
程度の差はありますが、どのような会社にもあります。


なぜ、今ここまで「内部統制」が話題になるのかというと、
2006年6月に公布された「金融商品取引法」で
平成20年4月1日以降に始まる会計年度から「内部統制報告書」を作成し、
公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならないことになったからです。


「内部統制報告書」とは「財務諸表が適正に作成されるように
デザインされたシステム(業務手続)が企業のなかに構築され、
それが有効に機能しているか否かを評価した報告書」です。


つまり今までは会社独自の基準で作られていた「内部統制」が
監査を受けるとなると社会通念から判断して
一定以上のレベルに引き上げなければなりませんし、
内部統制が有効に機能していることを説明するために文書化も必要となります。


「内部統制報告書」を作成しなければならないのは、
原則として「トヨタ」などの上場企業ですが、
上場企業が公表している財務諸表はグループ会社全体(トヨタグループ)の
業績を表す「連結財務諸表」がメインなので、
親会社だけではなくグループの業績に重要な影響を与える子会社などについても、
一定レベル以上の「内部統制」を構築する必要があり、
全体として大きなコストが発生すると懸念されています。


経済のニュースで「内部統制」が説明されるときに
「J−SOX」という言葉が出てくるのを目にした方も多いと思います。


次回のメルマガでは「J−SOX」という言葉を説明しながら、
日本に内部統制監査が導入されることになった経緯をお話しします。
  

Posted by minoru2005 at 02:20Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!メルマガ 

2006年08月28日

日本はアルゼンチンを笑えるか(1)

国債の残高が年々増加しているため、
2002年の春に日本の国債の格付が
ボツワナより低くなってしまったというニュースが話題になりました。



そこで、実際に国債が債務不履行となってしまったアルゼンチンと
現在の日本の状況を比較して、
日本の財政状態は大丈夫かを検討してみたいと思います。




アルゼンチン政府は2001年12月に、支払のための外貨不足から
公的債務の一次支払の停止を宣言しました。

木村剛氏の「お金の発想法」(日本実業出版社)によると
債務不履行となった公的債務の金額は約11兆円と書かれています


11兆円と聞いても、日本の2005年度の実質GDPは約540兆円なので
ぜんぜん大丈夫だと考える方もいらっしゃると思います。


経済規模が異なる国を比較する場合は金額ではなく、
GDPに対する国債残高の比率を比べた方が公平ですよね。

それでは、アルゼンチンが破綻した時のGDPに対する
公的債務残高はどの位あったでしょうか?


GDPに対する、公的債務残高は約60%でした


それに対して現時点の日本のGDPに対する
公的債務残高残高はどの位だと思いますか?


GDPに対する公的債務残高の割合は150%を超えています。
平成18年3月末現在の公的債務残高は827兆円
内訳は国債約670兆円、その他借入金等157兆円となっています。


この数字を見ると、なぜアルゼンチンは破綻したのに
日本は破綻しないのかと思われると思います。


日本が破綻しない理由は、
複雑な理由が絡み合っていると思いますので
アルゼンチンが破綻した理由を中心に説明していきます。



アルゼンチンは財政赤字による不足部分を外国資本に頼っていました。
アルゼンチン経済は1998年まで順調に成長を続けていたため、
海外からの投資が増加していきました。


その後経済成長が停滞したため、
投下した資金の価値が減少することを恐れた海外投資家が
アルゼンチンに投資していた金額を引き上げるようになりました。


一部の投資家がアルゼンチンから資金を引き上げると
不安に感じた他の投資家も同様な行動を取るようになり、
最終的に2001年12月には、耐えきれず破綻してしまいました。




これに対して、日本の国債は
日本国内の投資家が大部分を所有しています。


つまり、日本の財政赤字の不足部分は
日本国民の貯金(金融資産)でまかなわれています。


そして現在も新規に発行された国債は
すべて引き受けられているので、国家財政は破綻していません。



つまり日本が財政破綻しない主な理由は、
財政赤字による不足部分を外国資本に頼っているのではなく、
国民の貯金(金融資産)でまかなわれているからだと考えられます。



日本の国債は景気対策により増加しました。
それでは次回は景気対策とはどのようなものかについて
お話ししたいと思います。

  

Posted by minoru2005 at 23:58Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!メルマガ | メルマガ

2006年03月31日

すっきり分かる 国家予算(6)

1.すっきり分かる 国家予算(6)
2.無料レポート紹介
3.メルマガ紹介
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(前回メルマガに記載したバックナンバーページのアドレスが間違っていました。
お手数をお掛けして申し訳ありませんでした。)


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こんにちは。
アカウンティング・インテリジェンスの望月です。

だいぶ暖かくなってきましたが、
皆様はいかがお過ごしでしょうか。

平成18年度の国家予算が衆議院では3月2日、
参議院では3月27日可決され、成立しました。


私としては小泉総理の最後の予算なので
「三位一体の改革」についてもっと
つっこんだ議論をして欲しかったのですが
色々なスキャンダルを議論している間に予算が成立してしまいました。



それでは、今回は「三位一体の改革」は平成18年度までに
どのような効果があったかを説明したいと思います。




(1)◆◆◆すっきり分かる 国家予算(6)◆◆◆


「三位一体の改革」とは、以下の3つの政策を行うことによって
地方分権を進めていこうという改革でしたよね。


(1)国庫補助負担金の削減
   
国庫補助負担金とは、特定の業務等の使い道を指定して
国から地方へ交付される資金のことをいいます。

(2)地方交付税交付金の見直し


地方交付税交付金とは使い道は限定されず、
地方が自由に使用することができる「一般財源」です。
地方公共団体の間で生まれる税収の格差を調整するという役割があります。

(3)国から地方への税源移譲



それでは、実際に「三位一体の改革」はどのような成果があったかを
総務省のHPにある「平成18年度地方財政計画の概要」を使って
説明させていただきます。


http://www.soumu.go.jp/iken/zaisei.html



まず、国庫補助負担金については、次のように説明されています。


国庫補助負担金 4.7兆円の改革(削減)

(改革の内訳)

税源移譲      3兆円
スリム化による削減 1兆円
交付金化      0.7兆円




国の収入である所得税の割合を減らして、
地方の収入である住民税の割合を増やすという方法で
3兆円の税源移譲を達成する予定になっています。

交付金化というのは、今までは使途を指定した国庫補助負担金として
地方に支給していた金額を交付金化(一般財源化)することによって
地方に対する国のコントロールを減少させることを目的としています。




また、地方交付税については平成16〜18年度で
5.1兆円の抑制と記載されていますが、
具体的な内訳が記載されている資料を見つけることができませんでした。


ちなみに地方交付税の金額は次の数式で計算しています。

地方交付税の額=基準財政需要額−基準財政収入額

基準財政需要額とは標準的な公共サービスを行うのに必要なコストを、
基準財政収入額とは地方税の税収見込額を表しています。

つまり、地方公共団体が標準的な公共サービスを行うのに
不足する金額を国が補填するのが地方交付税です。




「三位一体の改革」により、国と地方に流れるお金の割合が変わってきます。
そのため国は国の負担が減るように改革を行おうとしますし、
地方は地方で現在より不利にならないように改革を行おうとします。


現在の行われている「三位一体の改革」は地方財政の独立よりも
国の負担を削減するという要素が大きいため
地方公共団体にはいろいろ不満な点が生じており、
その内容がHPで公開されています。

皆さんもお住まいの地方公共団体のHPをご覧になられては
いかがでしょうか。



それでは、次回からは新テーマ「お金って何?」を考えてみたいと思います。

非常に根本的な疑問ですが、
なぜお金は価値をもって流通しているのでしょうか?

なぜ、日本円はは財政破綻したロシアのように暴落しないのでしょうか?

そのあたりを考えていきたいと思います。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

最近、高橋貞夫さんの『〜人生の踊り場を迎えた〜団塊の転職』
を読ませていただきました、

その中で感じたことは、何かを失うということは、
新しい何かを手に入れるチャンスだということです。

私も高橋さんと同じく日本の不景気を表現した「失われた10年」
という言葉には違和感を感じます。

この10年間は決して失われたのではなく、
新しい何かを創り出すための時間ではなかったのでしょうか。

もっと言えば、新しい価値観を創り出す必要があり、
そのために日本中が頑張っていた時間だと思います。(望月)




団塊世代1000万人が大量退職する20007年目前です。
現実には、すでに早期退職等で大流動が始まり、
「団塊の世代」の生き方が新聞や雑誌などで話題になっています。

「日本の知」と言われる団塊世代、実状はそう甘くありません。
役職が重いほど、再就職が難しい現実を見つめながら、
修羅場をくぐりぬけた著者が同世代へのエールを送ります。

震災復興、倒産、退職、中小支援企業への転職……
元そごう神戸店長が書いた渾身の書。
団塊世代はもとより、「人生の踊り場」からの一段目を
昇りたい全ての方々におすすめします。

『〜人生の踊り場を迎えた〜団塊の転職』
(高橋貞夫著 出版文化社刊 ISBN: 4883383342 税込 \1,400)
http://tinyurl.com/n2p42
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すっきり分かる 国家予算(5)

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こんにちは。
アカウンティング・インテリジェンスの望月です。

最近は寒い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
早く寒さが和らぐといいですね。


前回のメルマガでは国家予算について説明しましたので、
今回は地方予算について説明をしていきたいと思います。




(1)◆◆◆すっきり分かる 国家予算(5)◆◆◆




国家予算の政府案は、現在国会で審議が行われています。

それでは、地方予算はどのように決定されるのでしょうか?


地方予算の歳入には、国の方針によって支給額が決められる
国庫支出金等があります。

そのため、地方予算は国家予算よりも後に作られることになります。

概ね3月初旬頃までに予算案が作られ、
その後に地方公共団体の議会で審議され地方予算が確定します。


それでは今回は、地方予算がかかえている2つの問題について
お話したいと思います。


1.国と地方の財政関係

公共サービスには国が主となって行っている国防などと、
地方公共団体が主となって行っている学校教育などがあります。


2001年度に公共サービスのために発生した支出の割合は
国が4に対して、地方公共団体が6となっています。

これに対してサービスを提供するために必要な税収の割合は、
国の収入である国税が6、地方公共団体の収入である地方税が4となっています。

サービスを提供するために必要な収入と支出の割合が
国と地方公共団体でアンバランスになっています。

つまり、税収が国に偏っているということが第1の問題です。




2.地方財政の多様性

日本は地方によって風土や、経済状況が異なっています。


例えば、昨年から今年にかけて全国的に多くの雪が降りました。
東京などではあまり影響はありませんでしたが、
雪の多い地方では、除雪のための経費が必要となります。
このように地方公共団体によって発生する経費が異なってきます。

また、多数の企業がある大都市は多くの税収がありますが、
過疎化の進んだ地方の税収はとても少なくなってしまいます。


わが国では、日本全国同等の公共サービスが行われることを
重視しています。

多くの地方公共団体においては、
独自では必要なサービスをまかなう税収を確保できないのが
第2の問題点です。



上記の2つの問題点を残したままでは、
地方公共団体の財源が不足してしまいます。

そこで、国から地方へ「国庫支出金」や「地方交付税」の形で
財源を移転し、地方の財政不足を補っています。

しかし、国から地方へ財源が移転しているということは、
配分の権限を持っている中央官庁が地方財政をコントロールすることになります。


地方が決定すべきことは国ではなく、
地方自らが決定するというのが地方自治本来の姿であり、
それを実現するために小泉内閣は「三位一体の改革」を進めています。

それでは次回は「三位一体の改革」は平成18年度までに
どのような効果があったかを、実際の数字を使って説明したいと思います。


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Posted by minoru2005 at 01:51Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!メルマガ | メルマガ